介護業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みである介護DXはなぜ必要とされているのでしょうか。その一番の大きな理由は、「2025年問題」です。
2025年問題とは、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人口800万人の世代が2025年に後期高齢者となり、日本人口の約四分の一が後期高齢者となることによって生じる様々な社会的諸問題を指します。代表的な問題としては、高齢者が増えて超高齢化社会を迎えることになる一方、高齢者を支える社会保障の担い手である労働人口は減っているため、現役世代の負担増が大きな課題となります。
とりわけ労働人口の減少は介護業界においては深刻です。社会保障を必要とする高齢者が急激に増加するにも関わらず、少子高齢化のためにその担い手が不足しているからです。この課題に対して、大きく期待されているのが介護DXなのです。
介護DXを導入することによって、業務負担の軽減や効率化、介護職員のストレス低減が期待されています。とりわけ介護の現場では、離職率の高さに頭を悩ませる事業所が多いのが現実です。常に職員確保に奔走し、その間は少ない人員で現場をやりくりする、その結果現場の職員の負担が増え、離職につながるといった負のスパイラルが続く状態です。
そのため現場の目線から言えば、介護DXの取り組みで一番に期待されている点は、「介護現場の仕事が楽になるか」という点になります。ただこの点においては導入したら事務作業が楽になったという声も多く聞かれるため、期待を裏切らないと言えるかもしれません。詳しくは介護DXの導入事例を見てみるといいでしょう。
とはいえ、導入してすぐ効果が表れる施策は稀です。効果が目に見えてわかるまでの間、ただでさえ負担の大きい現場で取り組みを続けていけるのかが、介護DXの浸透にとっての課題だと言えます。